或るフリーターの手記

29才フリーター、日々の雑感を記す

私小説「一鬼夜行」第6號「憑きましては地獄でお会いしましょう」

「今日の真実は科学調味料をふんだんに使った真っ赤なパスタの中に」

千春はそんなことを言われた

今日は、一体いくつの命を貪れば、気がすむのだろう

「命をそちらに送り届けるのには、いくらの運賃がかかりますか?」

「一グラムの重さが有りますか?」

カラスなぜ哭くの
何故哭くの

カラスは言う
「私が死んだところで誰も泣いてはくれないから、せめて私が生きているうちに、貴方のために哭くのです」

続けて言う
「貴方は何故哭かないの
悲しみに暮れて、哭くことは貴方に与えられた特権なのですよ」

海が泣いたって、波がすぐに描き消してしまいます
花の涙は大概が綺麗な涙に観られます
殺されていく家畜の涙を三回忌だなどと、哀れむ人が居りますか


貴方のためになく人も
貴方がためになく人も

尽きることなく、笑えます
地獄だろうと、天国だろうと
どこでも幸せな魂です

ぷかぱか、ぽっかり朗らかに
ひどい涙を流しましょう
卑しい涙を流しましょう

それは人の特権だから
ありありて、歩き回って、踏まれます
人の見えぬは、居ないと同じ

全く、酷い有り様です

千春はただ、そんな気持ちだった