或るフリーターの手記

29才フリーター、日々の雑感を記す

掃き溜めに咲く

人生はよく旅に例えられることがある

おらの旅路は今のところ、静かにガサガラノ激しい雨が降り続いているように感じる

今年で25だ

起業家に憧れて
絵描きに憧れて
小説家に憧れて
唄歌いに憧れて

どれもだめであった

今はボロアパートに酒と虫と野良猫といっしょにくらしている

埃にまみれ、誇りを忘れ、矛を捨てた

小さな幸せが大きな幸せに変わったのは、きっと高望みをしなくなってからだ

トムウェイツに憧れ
ゴッホに憧れ
ノエルギャラガーに憧れ
友部正人のように
石田長生のように
真島昌利のように
なりたいと思っていた

今はフリーター、アコースティックギターをならしている

その腕前はひどいもので、とても悲しい音が出るばかりだ

カビが生えた掃き溜めの花はとてもみすぼらしく散るのだろう

きっと、思ったように人生が進んで、転がっていく人などはいない

みな、雨に風に晒されて、時には行き交う人の優しさなどと呼ばれるものにこころを癒され
時には、美しい景色に本然の心を感じ、生きたり、死んだりして、生きようと試みるのだろう
そこで、こと切れるものも、自ら小さな蝋燭を吹き消す人もいるだろう
突発的な悪意に刺されることもある、それが世だ

それでも、有らん限りの命で生きようとする姿勢の方がおらは好きだ

そんな人の路地裏にのみ、グレープフルーツムーンは降り注ぎ、優しくその生を照らすのだろう

(そういえば、最近寝たのはいつだっけ、煙を飲んで生活出来るようになったのは、どれくらい前だっけ)

星降る峡谷の、銀河鉄道の、ジプシーの悲しく陽気な歌の、あのメロディーに犯され、殺されたいと願う日々だ

きっと、掃き溜めにも花は咲くよ