或るフリーターの手記

29才フリーター、日々の雑感を記す

底冷えした朝のさらに底に

底冷えの朝、木造40年の安アパートの角部屋で

男は二重の毛布にくるまり震えていた 時計は6

時を指していた。

 

昨日、湯を沸かす電気代をケチって湯たんぽを

沸かさなかったことを甚だ後悔した

 

足の指はすっかり冷たくなっていた

 

ぼんやりした頭で今夜も夜勤だと思うと

底冷えの朝のさらに底に深く潜り込みたい

気になった

 

だらだらと大学卒業以来コンビニの夜勤のバイトを5年続けている

 

枕元には昨日寝る前に読んだ西村賢太の本と官能小説があった

 

路の氷は溶けずにまだ残っていると思うと

それもさらに鬱々とした気分に拍車をかけた

 

毛布を引き戻し 目を瞑った

いらぬ天窓からは日が差し込み煩わしかったが

引っ越しなんてできない身分のため

眠れるときを待った