或るフリーターの手記

29才フリーター、日々の雑感を記す

うたうひと

朝もやのかかった公園
からからの空気の中、銀杏の香りがしております
一人の男がベンチに座り歌を歌っているようです

申し遅れました
今喋っております私は灰色と茶色とが混ざりあい
しましまのせんが入った、尾っぽがそこらの猫より少しだけ長い野良猫です

話を戻しましょう

男は朝から熱心にギターを弾いているようすで、
全く得心のいかないように首を傾げております

男はAmの音が好きなようで、その音がたくさん聞こえてきます

「こんにちは」
私が挨拶すると
男がコクりと頷き、軽く微笑みました
「なんで朝からギターなんて弾いているのですか?」
(その日はとても寒く全くいい日和ではなかったので)

「弾きたいから弾くんだ」
男は自問自答するように呟きました

私はすぐに飽きてしまい草の影へざぁざぁと行くことにしました

全くヘンテコな生き物だと思いました