のらねこ回想録 1
吾輩は猫である名前はいらない
名前があってもなくても吾輩は吾輩である
哲学風に漱石の威を借りる
今日も、雲は白く、空は青い
武漢ではよく分からないウィルスが蔓延しているらしい
我輩は白黒の老猫、声は掠れ、髭は尖って、目には老獪さと柔らかな諦めの調子があるらしい
側を通りかかった、暗い表情の青年が呟くように吾輩にそのような評価を下し溢した
青年曰く、武漢からのウィルスにより、口を被う布が無くなり、大変な騒動となっているらしい
気軽に欠伸もできぬらしい
その青年とても臆病と見えた
吾輩からすれば人間というのはどこまでも長生きを望むものが多いようにみえる
そのわりにひどく忙しく走り回って、何かよくわからんものを耳にあて、真面目な顔で路上で大声を張り上げている
もう少し、ゆたりとは生きられぬものなのか?
との疑問が浮かんで雲に溶けた
吾輩はそれよりもただ彼の雲がどこまでゆき
どこで消えるのかそればかりが気になった
今はただ、そればかりが、、