或るフリーターの手記

29才フリーター、日々の雑感を記す

のらねこ回想録 2 ~白黒の大先生と愚民の唄~

愚民の唄を口ずさみ今日もいつもの曲がり角

とんがり髭を揺らして、白黒の大先生は
塀を飄々と飛び降り、こちらへのそりのそりと歩いてくる

青雲、我を映せと言わんばかりの威風堂々とした
体である

嗚呼、格好がよいとはこれである!

野にあって、空を宥め、自らの受難などは露知らず
ただ今日を歩いてゆくだけだよと
そんな感じがするんです。

愚民の唄を口ずさみ
晴れやかに路上に倒れようではないか

新鮮な空気を、宙に漂う塵芥を
大口開けて喰らおうではないか

外的要因に自己を求めるのではなく
内的精神に生命の輝きを、美を見つけようではないか

愚民の唄は万人の魂に似たり
声枯れるまで、この身朽ちるまで
唄え青年、さすらえ青年、

あらんかぎりの鼓舞、鼓舞、鼓舞
もの言わぬ一匹の猫の鼓舞


白黒の大先生は傷だらけ、犬猫店の飾られた方々にはきっと思いもよらない奮闘があったのであろう、、

誠に!

格好がよい!!



虚栄の風は穏やかに
枯れ木の間を吹き抜けて
令和2年晴れやかに
青天の雲をばただ眺める家路

小窓に映り流るる景色を一体何と心得る?